地域に住む高齢者の転倒リスクのお話

本日は地域に住む高齢者の転倒について解説していきたいと思います。病院や区役所などにいくと”転倒に気を付けましょう”とよく目にしますよね。医学的に転倒とは、事故や外的な力を加えていない状態で、意図せずにより低い支持面に落ちてしまうことを言います1)。内閣府によるデータでは、要介護になる主要因のなかで13%は転倒によるものと報告があります2)。中年世代の方でも”高齢になり足腰が弱くなってきた家族の転倒がこわい”といったこともよく耳にします。今回は、転倒が発生するリスクについて、論文を交えながら①病歴について、②運動機能についての2つの側面から解説していきます。

1) Prevention of Falls in Older Persons. AGS/BGS Clinical Practice Guideline. Accessed May 9, 2014.
2) 令和3年版高齢社会白書(全体版)

転倒のリスクについて

1.背景情報について

2.運動機能について


3.本日のまとめ

今回の解説は、この論文を参考にしています。医療者、英語の得意なかたであれば読むことが出来ると思いますので、ご参照ください。
Lusardi MM, Fritz S, Middleton A, Allison L, Wingood M, Phillips E, Criss M, Verma S, Osborne J, Chui KK. Determining Risk of Falls in Community Dwelling Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis Using Posttest Probability. J Geriatr Phys Ther. 2017 Jan/Mar;40(1):1-36.

転倒が予測するための背景情報について
転倒リスクを予測するための背景情報については、最も簡便に確認できると思います。自身やご家族の方があてはめて考えてみると良いと思います。
転倒リスクの高い背景情報には、①日常生活に何らかの介助が必要、②歩行補助具の使用(杖など)、③転倒の恐怖感が強い、④過去に転倒歴がある、⑤精神薬の使用(抗うつ薬、睡眠導入剤など)が挙げられます。

この5項目は、転倒を予測するのにとても高い精度であるとはいえませんが、ひとつでも当てはまるとそうでない人に比べて転倒リスクが高くなると報告されています。

転倒を予測するための運動機能について
転倒リスクを予測するための運動機能については、基本的に専門家に実施してもらうのが良いでしょう。要介護状態の予防や体の機能向上を図るうえで重要な項目であるといえます。また、この論文の中で転倒を予測するためのツールとしても運動機能が最も有用でした。
転倒リスクの高い方の運動機能では、①Berg Balance Scale(バランス評価:50点未満)、②Timed up and go test(立ち座り、歩行、旋回を含むテスト:12秒以上)、③片脚立ち(6.5秒未満)、④5回立ち座りテスト(5回素早く立つのに要する時間:12秒以上)、⑤歩行速度(快適な速度:1.0m/s未満)などが挙げられます。①、②は転倒する危険性もあるので、特に専門家に測定してもらうのが良いでしょう。

上記のように、転倒を予測するための運動機能の評価にはさまざまなものがあります。要素としては、立ち上がりや歩行、旋回、バランスなどが含まれます。この論文では、①、②、④のテストがクリアできなかった場合、転倒危険性は83%と推定されています。
運動機能により転倒リスクはある程度までは、予測できるということになります。

まとめ
本日は転倒リスクについて、背景情報と運動機能に分けて解説しました。
このように情報をみていくと、転倒リスクを詳細に評価するためには運動機能の評価を複数行うことが重要であることがわかります。
運動機能に関しては、高齢者でも改善を期待できることが多いので、転倒を経験したことのある方や、補助具をしようされている方などは早めに対策を検討したほうがよいかもしれませんね。

対策は、運動だけでなく、自宅内の整理(掃除、整頓)、福祉用具の変更、住宅環境の変更(手すりの設置、照明、履物)などさまざまな点で考慮すべきことがありますので専門家に聞いてみるのが良いと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
本日は転倒のリスクについて解説いたしました。
身近な方でも背景の情報などあてはめてみると対策の必要性がみえてくるかもしれません。

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ではまた次回!

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