大腿骨頚部骨折後のリハビリの具体例

はじめに:大腿骨頚部骨折とリハビリテーションの重要性
今回は、高齢者や骨粗しょう症の方で発生しやすい大腿骨頚部骨折についての具体的なリハビリ内容について解説していきます。
大腿骨頚部骨折は高齢者に多く発生し、術後のリハビリによって歩行能力・日常生活動作(ADL)の回復が大きく左右されます。
術後早期にリハビリを始めることが、合併症予防や機能改善につながるとされています。
具体的に科学的根拠がある介入内容として3つの方法を紹介いたします。
ぜひ、みなさまのリハビリの参考にしていただければと思います。
1. 漸進性抵抗運動
2. ファンクショナルトレーニング
3.早期の体重負荷と歩行練習
4.在宅、自費リハビリでの実践のポイント
1.漸進性抵抗運動(筋力強化目的)
いきなり難しそうな言葉ですが、負荷を増加させながら行う筋力トレーニングのことを指します。
進行性抵抗運動(筋力トレーニング)は、術後の筋力・バランス・歩行能力の改善に効果があると複数の論文で示されています。
例えば、Soro-García らのレビューでは、下肢(股関節・膝関節)の進行性抵抗運動を含むプログラムが、筋力、バランス、歩行速度などの向上に寄与することが示されました。
また、別のシステマティックレビューでも、進行性抵抗運動は股関節骨折術後の身体機能改善に最も有効な運動療法として挙げられています。
Soro-García P, González-Gálvez N. Effects of Progressive Resistance Training After Hip Fracture: A Systematic Review. J Funct Morphol Kinesiol. 2025 Feb 2;10(1):54.
Avola M, Mangano GRA, Testa G, Mangano S, Vescio A, Pavone V, Vecchio M. Rehabilitation Strategies for Patients with Femoral Neck Fractures in Sarcopenia: A Narrative Review. J Clin Med. 2020 Sep 26;9(10):3115.
具体的には、下記のようなものがあげられます。
- スクワット:
一度に10-20回程度から行っていき、重りを持って行ったり、回数を増加させながら負荷を挙げていきます。
1日に2-3セット行うと効果があるとされています。 - 立位での横脚上げ:
立った状態で股関節を外に広げます。
ゴムバンドなどで抵抗をつけることも有効性があると思います。
座って、大腿骨の遠位(膝に近い部位)にゴムバンドを巻き、広げる運動でも可。 - 踵上げ:
まずは壁を手で触れながら実施、慣れてきたら片脚で踵上げをしたり、片手を離して行うことも良いでしょう。 - 腿上げ:
座位でも立位でもかまいません。
大腿骨の近位部に付着する、股関節を上に持ち上げる筋肉群(腸腰筋)を鍛えます。
抵抗が弱い場合(30回以上簡単にできてしまう)は、ゴムバンド、足首への重りで調整しましょう。
2. ファンクショナルトレーニング

筋力がついても、実際の動作に結びつかなければ日常生活での不快感や違和感は改善しません。
そこで重要なのがファンクショナルエクササイズです。
これは「立つ」「歩く」「方向転換する」といった実際の生活場面に近い練習を行いながら、動作のスムーズさや手軽さを向上させていく方法です。
具体的には下記のようなものがあげられます。

- 椅子からの立ち上がり、座り:
スクワットと似ていますが、座り込んだ時に筋肉を一度休ませることができる点などが異なります。
出来れば手を使わずに行い、20-30回と連続でできる程度に慣れてきたら重りを持つなどして負荷をかけましょう。 - 横歩き:
横歩きは、通常歩行よりも、骨盤の上下や股関節の内外転筋(広げる筋肉と閉じる筋肉)に負荷がかかります。
ゴムバンドを使って、抵抗をかけるのも効果的であると思います。 - 足を揃えて立つ練習
立位にて片方の足の前にもう片方の足を置きます。
慣れてきたら片足立ちにも挑戦しましょう。転倒に十分気を付けて行ってください。
バランス練習の要素が強いですが、反応性姿勢制御の練習にもなります。
反応性姿勢制御に関してはこちらを見ていただければと思います。

3.早期体重負荷と歩行練習
可能な範囲での早期体重負荷は、機能回復を促進します。
長期臥床は筋萎縮や血栓形成のリスクを高めます。
- 立位での左右体重移動:
両足で立ち、ゆっくり左右に体重を移します。 - 歩行器や杖を使った歩行練習:
いきなり何も持たずに歩けなくても問題ありません。
まずは歩行器、四点杖、T字杖と、徐々に負荷をあげていきましょう。 - 段差練習:
まずは、骨折していない側から昇り、骨折した側から降りるようにしましょう。
筋力に自信がついたら、骨折した側から昇る練習にチャレンジしてみてください。
出来れば専門家の監視のもと、はじめてみるとよいと思います。
4. 在宅、自費リハビリでの実践のポイント
退院後の継続的な運動が予後を左右します。自宅でのリハビリでは以下がとても重要です。
・自宅環境での実践練習:
いつでも実践でき、続けることができるのが自宅でのリハビリのメリットです。
住み慣れた環境でトレーニングが継続できれば、改善もしやすいと考えられます。
・家族への指導:
ご家族に運動のチェックポイントを指導することで、専門家がいないときでもある程度の再現性を維持しながら運動を継続できます。
・転倒リスク評価:
転倒リスクがあまりに高い場合は、見守る人が必要になります。
・段階的な負荷調整:
長期的な改善を視野に入れながら、段階的に負荷を増加させていく必要があります。
頻繁である必要はありませんが、週1回程度は専門家にみてもらうのがよいと思います。
Rehab Tokyoがサポートさせていただいている利用者さまの中には、退院後歩行器が手放せなかった方が、4か月のサポートで独歩(何も持たずに歩行)が可能になったという例もございます。
大腿骨の骨折後に方で、運動に関する不安や、恐怖感などございましたら是非一度ご相談いただければ幸いです。
ご不明点等ございましたらお問い合わせフォームからご連絡ください。
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それではまた!!
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保有資格:理学療法士、修士(理学療法学)、認定理学療法士(運動器)
住環境コーディネーター2級
略歴:理学療法士免許取得後、大学病院に勤務し、整形外科、神経疾患、がんなど様々な疾患の理学療法に従事する。
その後、大手自費リハビリ施設にて勤務し、医学的根拠(エビデンス)の基礎を学び、店舗・訪問リハビリにて利用者様に尽力する。
エビデンスに基づくサポートができるように、多数の学会発表や論文執筆を通じてさまざまな疾患やトレーニングの学習に励む。
過去の経験を活かし、在宅でも本格的なリハビリをお届けするために、自費訪問リハビリサービスのRehab Tokyoを設立。


