高齢者の歩行速度について

本日は地域在住高齢者の歩行速度についての解説をしていきたいと思います。歩行速度は、生活していく上で早く目的地にたどり着くために重要な項目です。こちらのサイトによれば、70歳以降10年で15%ほど低下していくと報告されており1)、30-55歳時の歩行速度は、70歳になったときに健康でいられる確率にかなり強く影響する2) との報告があります。
リハビリをお考えの皆様も、歩行に関するお悩みも多いと思います。歩行速度からわかる歩行の自立度(歩行が一人で確立しているか、装具や補助具、介助が必要であるか)について、歩行速度を向上させる3つのトレーニングについて解説したいと思います。
1) https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/20-%E8%80%81%E5%B9%B4%E5%8C%BB%E5%AD%A6/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E3%81%AE%E6%AD%A9%E8%A1%8C%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8%80%85%E3%81%AE%E6%AD%A9%E8%A1%8C%E9%9A%9C%E5%AE%B3?ruleredirectid=465#%E7%95%B0%E5%B8%B8%E3%81%AA%E6%AD%A9%E8%A1%8C%E5%A4%89%E5%8C%96_v1136917_ja
2) Sun Q, Townsend MK, Okereke OI, Franco OH, Hu FB, Grodstein F. Physical activity at midlife in relation to successful survival in women at age 70 years or older. Arch Intern Med. 2010 Jan 25;170(2):194-201.

歩行速度と自立度
まずは、歩行速度からわかる歩行自立度(歩行が一人で確立しているか、装具や補助具、介助が必要であるか)についてお話していきます。
内容はこちらの文献を参考にしています1)。今回は独歩自立(補助具・見守り・介助無し)の確率を確認します。
病院に入院している65歳以上の高齢者では、0.6m/s未満では、自立率2.3%と非常に低くなっています。1時間当たり2.2km程度の速度になります。0.6-0.79m/sでは、自立度は14%でこれでもまだまだ自立はしにくいということになります。歩行速度が、0.8-0.99m/sとなってくると52%の自立度となり、1時間当たり3.2km程度の歩行速度があれば、約半数の人で自立するということになります。歩行速度が、1.0-1.19m/sでは、72.7%の自立度となり、それ以上の1.2m/s以上では、全例で自立となっています。
院内での歩行自立度は一般的に理学療法士や看護師、医師などが総合的に判定しますので、個人の状況や院内の環境、疾患などによって多少異なる可能性はありますが、自立に関する目安の速度にしてもよいのではないでしょうか。
1) 加嶋・その他.高齢入院患者における最大歩行速度と独歩自立の関係.理学療法科学 32(5): 635–638, 2017
歩行速度を向上させるトレーニング
歩行速度を向上させるトレーニングに関しては、いくつかの研究をまとめた論文を参考にしています1)。
この論文では、抵抗運動、協調運動、包括的トレーニングの3つに焦点があてられています。
対象者は、歩行速度1.0m/s以上の高齢者なので、留意してください。
抵抗運動とは、最大の筋収縮を起こすような重りや力を用いて行われる筋力向上トレーニングの事です。俗にいう筋力トレーニングがこれにあたります。
協調運動とは、主に自重運動(自分の体重のみの負荷)で、歩行やバランス運動、ダンス様のエクササイズ、ファンクショナルトレーニング(体の機能を向上させる)が含まれていました。
包括的トレーニングとは、抵抗運動や有酸素運動、バランス、ファンクショナルトレーニングなどさまざまなトレーニングか包括的に含まれていました。
結論から申し上げると、すべての運動で、歩行速度が改善することがわかっています。
快適に歩く時の歩行速度を改善させるには、包括的なトレーニングの有効性が高い可能性があります。筋力低下が強い方、バランス低下が強い方など、さまざまな個人の状況に応じて、プランを変えられる点が包括的トレーニングで優れているので、その影響が出ているのかもしれませんね。
速く歩く時の歩行速度は、抵抗運動で最も大きな改善が見られました。脚の筋力を向上させることは、早歩きの際に非常に重要であることがうかがえます。
歩行速度の改善率は、概ね10%程度となっており、トレーニングやリハビリの目安として覚えておくと良いと思います。

まとめ
今回は、高齢者の歩行速度について解説いたしました。
歩行速度は将来的な健康寿命を予測したり、慢性疾患とも大きな関わりがあります。
30分程度でどの程度歩くことが出来るかなど、少しでも歩行速度に興味を持ってもらえますと幸いです。
トレーニングに関しても3つ紹介いたしました。それぞれの特徴を掴み運動に励めると良いですね。
Rehab Tokyoではリハビリに関する有益な情報を発信していきます。
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ではまた次回!
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保有資格:理学療法士、修士(理学療法学)、認定理学療法士(運動器)
住環境コーディネーター2級
略歴:理学療法士免許取得後、大学病院に勤務し、整形外科、神経疾患、がんなど様々な疾患の理学療法に従事する。
その後、大手自費リハビリ施設にて勤務し、医学的根拠(エビデンス)の基礎を学び、店舗・訪問リハビリにて利用者様に尽力する。
エビデンスに基づくサポートができるように、多数の学会発表や論文執筆を通じてさまざまな疾患やトレーニングの学習に励む。
過去の経験を活かし、在宅でも本格的なリハビリをお届けするために、自費訪問リハビリサービスのRehab Tokyoを設立。


