変形性膝関節症(膝OA)の手術後のリハビリについて

― 変形性膝関節症やその手術後のリハビリとは ―

「手術して一安心と思ったのに、膝がまだ重い」「退院後はリハビリもなく、不安」「慢性的な膝の痛みがずっと続いている」。

こうしたお悩みは、変形性膝関節症(膝OA)や人工関節置換術(TKA)後の方によく見られます。

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで炎症や変形が起き、慢性的な痛みや機能低下を生じさせる疾患です。

そして、**手術後に再び症状が悪化しやすい要因の一つが「退院後のリハビリ不足」**です。


退院後にもリハビリは必要?科学的な根拠とは

多数の研究が、継続的な運動療法が症状の緩和と生活の質向上に役立つことを示しています。

  • 2023年の系統的レビューによると、術後3か月〜1年までの運動継続が、痛み・歩行能力・バランス機能を有意に改善すると報告されています(Kovic et al., 2023, PMID: 36612356)。
  • Cochraneレビュー(Fransen et al., 2015, PMID: 25919219)では、筋力トレーニングを含む運動療法が、手術を回避したい慢性OA患者の痛みや身体機能に中等度の改善をもたらすと明記されています。

退院後の運動を怠ると、筋力低下・可動域制限・歩行能力の低下といった逆戻りのリスクが高まります。


退院後・慢性期におすすめの運動療法プログラム

膝の痛みや機能障害は、運動の「質」と「継続」によって大きく変わります。

以下のようなメニューが科学的に効果的とされています:

① 筋力強化(特に大腿四頭筋)

  • 目的:膝の安定性と衝撃吸収力を高める
  • 種目例:椅子に座っての膝伸ばし運動(レッグエクステンション)、軽いスクワット
  • 研究では、大腿四頭筋の筋力低下が痛みの強さと相関しているとされます(Palmieri-Smith et al., 2010, PMID: 20395535

② 有酸素運動

  • 目的:血流促進・関節周囲筋の代謝改善、荷重ストレスの低減
  • 種目例:ウォーキング(平坦な道)、エアロバイク
  • 有酸素運動は慢性OA患者において、痛みの軽減・体重管理に有効です(Roddy et al., 2005, PMID: 15537607

③ バランストレーニング

  • 目的:転倒予防・歩行時の安定性向上
  • 種目例:片足立ち、ステップ動作
  • 術後でもバランス練習により歩行速度とバランス機能が改善することが報告されています(Valtonen et al., 2010, PMID: 20407394

④ 可動域とストレッチ

  • 目的:関節拘縮予防、筋緊張の緩和
  • 種目例:太もも前後のストレッチ、膝の屈伸運動

こんな方は注意!「リハビリ空白期間」がリスクに

✔ 退院後、自主的な運動をしていない
✔ 整形外科の通院が終わり、指導を受けていない
✔ 動かすと痛いので、なるべく安静にしている

上記に当てはまる方は、「筋力低下→膝不安定→痛み悪化」という負のスパイラルに入っている可能性があります。
特に、術後3〜6か月の運動継続が予後に大きく関わるため、この時期のサポートが重要です。


自宅でできる?それとも専門サポートが必要?

運動療法は「自己流」で行うと、逆に痛みを悪化させるケースもあります。

実際、専門の理学療法士が運動指導することで、症状改善率が20〜30%上がるという研究もあります(Bennell et al., 2005, PMID: 15941842)。

そのため、以下のような方は専門家のサポートを受けることをおすすめします:

  • 退院後、膝の違和感が続いている
  • 日常動作(立ち上がり・階段昇降)がつらい
  • 自主運動の方法に不安がある

【まとめ】

退院して終わりではなく、“退院後が本番”です。
慢性的な膝痛も、術後の違和感も、「適切な運動」と「継続したケア」で大きく改善できます。
私たちもリハビリプログラムを通して、ご自宅や訪問でも安心してリハビリを受けられるサポートを提供しています。

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それではまた!!

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